二日目
早く夜寝ると、目覚ましより早く起きる事が出来ます。
普通に2時半に起きて、お湯を沸かしてコーヒーを飲みます。
テントの外に顔を出すと、満天の星空。
ミルキーウェイがオーロラの様に天を多い、遥か地平線の彼方まで広がります。
綺麗だな、世界は本当に綺麗だ。
残念なのは、この目で見ている景色を写真に記録として残せる技術が無いという事。
でもいい、この瞬間の景色は心に刻んでおくことにします。
3時には息子も起こし、出発準備。
二人でサクサク荷物を撤収し、3:50頃にスタートできました。
東の空が微妙に明るんでいます。
写真で撮ると明るく見えますが、実際にはかなり暗いです。
朝一なので少しゆっくり目に足を運びます。
大天井岳の方面へと、まずは横通岳を目指します。
振り返って後ろを見ると、常念岳の山頂に向かってヘッデンの列が続いています。
山頂御来光の列ですね。富士山みたいです。
我々と同じ方向に向かって歩く人は、この段階では確認できませんでした。
30分ほど歩くと、ようやくヘッデンがいらないぐらいの明るさになってきました。
ここが横通岳分岐です。
縦走路は山頂を巻いていきますが、山頂へ続く道も伸びているのが分かります。
特に案内は書いていないんですけどね。
テン場を出て1時間後。
横通しだけの山頂に到着しました。
凄いな、絶景。
横通岳山頂2767m、頂きました。百高山83座目!
三角点は三等。点名「赤樽」
雲の海とはよく言ったもの。
雲の水平線の彼方から、今日という日が始まる瞬間を息子と一緒に眺めました。
おはよう、世界。
きっと、今日も良い一日になる。
遠く離れ島のように、富士山や南アルプス。
振り返ると槍穂の稜線にも朝日が当たります。
素晴らしい景色。
しばらく朝食を摂りながら、ゆっくり過ごしました。
最近はこういう時間の時、息子と会話をする事が減ってきました。
昔は「ほら、○○が見えるよ!あ、あそこに○○がある!」
とか話していたのが、最近はそれぞれに何かをじーっと眺めたり。
ほんの片手程の歳を重ねただけで、子供はあっと言う間に成長していくんですね。
自分もそうだったんでしょう。
横通岳 - Spherical Image - RICOH THETA
さぁ、次へ行きましょう。
次は同じ尾根筋の東天井岳へ。
ここの道は大天井岳までは厳しい登りも難しい所も無く、ゆるっと歩ける稜線です。
テクテクと歩ける、気持ちの良い道でした。
トレランならそこそこのペースを維持できる区間ですね。
でも、この辺りの区間のおかげで、「北アルプスは楽な道」と勝手に頭の中にイメージがインプットされてしまったことが、この後の厳しさに繋がっていくとは、この時は思ってもいませんでした。
一部、ハイマツの濃い区間もありますが、歩きやすさ抜群です。
さて、横尾から伸びてくる支尾根との乗越部です。
この標識から登山道を反れて、次の山頂を目指します。
地図に登山道は書いて無いですが、踏み跡明瞭。
シャキシャキ歩きます。
東天井岳2814m頂きました!百高山84座目!
ふらっと立ち寄ったような山頂なので、休憩なしで次を目指します。
次の大天井岳を見据えます。
登山道に戻り、大天井岳への道を歩みます。
少し登りになりますが、道は険しくありません。
振り返ると、中天井岳のピークが後ろに。
常念岳も遠ざかってきましたね。
しばらく歩くと、大天荘が見えてきました。
いあー、ここのテン場も素晴らしいですね。
昨日頑張ってくればここまで来ることが出来たでしょうが、今回はゆっくり山行。
ここにテントを張る旅は、また別のお話にしましょう。
大天荘に荷物を置いて、山頂をピストンします。
大天井岳2922m山頂、頂きました!百高山85座目!
いやー、ここの山頂も素晴らしいですね。
これから行く表銀座、槍方面。
歩いてきた常念方面
昨年歩いた裏銀座。
先週歩いた蓮華針ノ木鹿島槍。
大天井岳 - Spherical Image - RICOH THETA
「大天井」という名前が分かります。
素晴らしい眺望ですね♪
と、ここで写真を撮っている時に、居合わせた片に声を掛けられて。。。
「先週鹿島槍にいましたよね?」
と。
私も同じこと思ってました。確かこの方、先週鹿島槍にいたような。。。って。
ビックリですね、凄い偶然です。これだけ広い山域に、たった一週間で同じような山に登り同じような時間に居合わせるって。
少しお話してからお別れしました。また、どこかの山で!
三等三角点、点名「天章山」
”てんしょう”はこの名前から来てるのでしょうか?
景色も綺麗でゆっくりしたいですが、気温が上がる前に移動をする事にします。
大天荘に戻り、行動色を摂りつつ小休止してから出発しました。
大天井岳の南側をトラバースし、表銀座のルートを目指します。
しかし、この道が思ったよりスリリング。
ここまでの道から言って、もっと緩いのを想定してたのでちょっと気を付けて歩きました。
30分ほどで大天井ヒュッテへ。
ヒュッテの上に見える道は、牛首展望台への道です。
ここで少し休憩しました。
息子はカルピスをご所望。
私はなんとなくコーヒー。
ここから牛首展望台へ上がれるのですが。。。
とあるお方が、「ここに登らなければ後悔する!」と言う絶景ポイントらしいのですが。。。
流石にここを登るとこの気温で体力を削られそうです。
今日はメインイベントが後に待ってるので、体力の温存を考えて泣く泣く諦めました。
後ろ髪惹かれまくりですが、またそれは別の旅で。
9:00スタートで表銀座を歩きます。
「表銀座」と言うメジャールートは、きっと歩きやすい緩い道。
と私の勝手な期待を裏切る微妙なアップダウン。
そして、気温が上がり始めたことにより、体力が削られます。
稜線を巻くたびに片斜面は風があり涼しく、もう片斜面は無風で蒸し暑く。。。
熱によりすさまじい勢いで体力が削られるのが分かります。
しかし、翌日は平日なので山深いこの道を歩く人は、急激に減りました。
静かに山を歩ける、暑いけど最高の時間です。
そんななか、チングルマが実になり始めていました。
夏真っ盛りなのに、秋は近づいているようです。
ビックリ平。
やっとここで稜線の上に出たので、風にあたる場所が増えてきました。
暑ーい。
尾根を回り込んだことにより、遠ざかった常念岳が再び近づいてきます。
そして、槍もジリジリ近づいてきます。
嬉しいですね~♪
勝手に緩い道を想定していただけに、これしきの登りが暑さには押されて精神的ダメージを与えてくれます。
でも、途中にはお花畑が広がり、こころ癒される所もありました。
素敵な道ですね。
そして、ビックリ平から1時間ほどでこの「赤岩岳」の標識。
来たね~。
この標識からおよそ250m
ここだ。
道の脇に赤リボン。
上に伸びる踏み跡。
赤岩岳の取り付き点です。
ザックをデポして、山頂を目指します。
赤岩岳はこの表銀座の稜線上にありますが、登山道はありません。
好きな人が勝手にこの道からよじ登るのです。
ですが…
激急斜面です。
となりの灌木につかまってよじ登らないと上がれないレベル。
足元もザレていて、滑るうえに石を落としてしまいます。
今日が人の往来の少ない日で良かったです。
下の登山道に人が来ないことを常に確認していないと、気が気ではありません。
灌木につかまり登ると、稜線の崖で行き止まります。
右手に岩場があり、山頂っぽく見えますが、正解は左の灌木の中。
踏み跡に沿って灌木のトンネルに入ると、すぐに三角点が見えます。
赤岩岳山頂2768m頂きました。百高山86座目!
ここも立派な百高山です、距離は短いけど厳しかった…
三角点と槍。三等三角点 点名「筆波美」
いやー、ここの山頂凄いですね。
超槍展望。
槍の展望台としてはかなり素晴らしいです。
赤岩岳 - Spherical Image - RICOH THETA
しばらく眺めていたいですが、荷物も登山道に放置してるのですぐに下ります。
下りも写真を撮る余裕無し。
かなり厳しかったです。
さぁ、ザックを背負ってリスタート。
西岳はそんなに遠くないはずですね。
表銀座、何気でキワい所もあったり、気の抜けない道でした
11:30
ようやく今日の目的地、西岳ヒュッテが見えてきました。
もう少しだー、ホッとします。
でもその前に、西岳へ。
西岳山頂2758m、山頂頂きました!百高山87座目!
いやー、ここも槍の展望が素晴らしいですね。
でも、さっきの赤岩岳の方が良かったかな。
多分、苦労して登った分のプラス換算があるからそう思ってるだけだと思いますけど。
ヒュッテ西岳はすぐ下。
その向こうにテン場。
そして、その向こうを見据えます。
今日はここにテントを張っておしまいではありません。
西岳 - Spherical Image - RICOH THETA
さぁ、降りましょう。
西岳ヒュッテに到着です。
なんとかお昼までに到着しましたね。
テン場の受付をします。
ここのテン場は上に幕営すると全方位の眺望なので上にしたいのですが…
丁度木陰になる場所が一か所あったので、小屋があそこに見える位置に幕営しました。
対岸には、昨日幕営した常念小屋のテン場が見える所。
歩いて来た道が見える、なかなか良い所。
まだお昼という事もあり、テン場には私達のテントだけ。
お昼ご飯を食べて、少しテントで休憩しました。
そして、13:30ごろ…
今日のメインイベント。
というより、今回の山行の核心へと踏み出します。
二日目後半に続く