日帰り水晶岳 後半

PENTAGON

2018年09月07日 08:00


結構な風が吹きつけ初めて、ガスの水滴に体温を奪われ始めます。
動かないと寒いな、行かないと。
山頂滞在は10分足らず。

来た道を戻ります。
最初の岩場で少し気を使いますが、それを過ぎると快適な道。


7:38水晶小屋に戻りました。
小屋の前に回ってみると、なんだか雨戸も全部閉まってる…
あら?小屋閉めですか?
と、この時は思ってました。
時間に余裕も出来たので、ここで名物の力汁を戴こうと思ったのですが…
残念、また次の機会に。


ワリモ北分岐へ足を進めます。
ここの稜線、こうやって改めて見るととても素敵な道ですね。
来るときは必死過ぎて見えてなかったのかな。


晴れていたらとても素敵な景色でしょう。
なんで昨年息子と歩いた時はそう思わなかったんだろう?
寝れなかった小屋泊の赤牛ピストンでヘロヘロだったからでしょうか。。。

またいつか、歩きに来よう。


8:01ワリモ北分岐に戻りました。(写真は岩苔乗越)
ここで葛藤。
来た道を戻って鷲羽経由で三俣に戻るか、黒部源流に降りて三俣に登るか…
今日来た感じでは多分鷲羽岳へ抜ける方が楽なような気がします。
何気で、黒部源流まではここから400m下げます。そして150m上げ。
昨年経験済みでこの道を下るのは疲れると体が知ってます。
でも、来た道をそのまま戻るのも面白くないので、つらいと分かっていても降りる方を選択してしまいました。


そうと決めたら行きます。
水場。これがホントの黒部源流。黒部の川の最初の一滴・・・
でも、この日は雨の後なので、もっと上からガンガン沢から水が出ていました。


そして、沢沿いに降り始めて後悔。
道が川になってる。。。
ただでさえ歩きにくい下りの道なのに、石の頭を選んで足を置かないとハマります。
なんともトレランシューズ泣かせの道。
降りなきゃ良かったと本気で後悔しました、ウキー。


でも振り返るとアフターカーニバル。
もうこんなに降りてきてしまっている。


でも、前を見るとまたやる気を削がれます。
あれを150m上げるのか…
しかも、明らかに三俣蓮華岳は雲の中ですし、あの辺り雨が降っているのが悲しい事に見えてしまいます。
もう三俣蓮華岳も寄らなくていいや・・・

あぁ・・・

なんでしょう。
目的達成の後の敗北感。


やっと黒部源流の碑。
でも、なぜここなんでしょうね?もっと上にあっても良さそうなんですが…


もう登る足も売り切れてますが、必死に足を上げ続けます。
左足の小指と裏側、豆がつぶれているのが分かります。
痛いけどどうにもなりません。


8:56さらに雨も降ってきた。
もう泣きっ面に蜂ですね、三俣山荘の食堂に避難します。


カレーを注文しました。
疲れた体に染み込みます、ホントに美味しい。
トマトソース強めな感じでピリッと辛く、あっという間に完食してしまいました。
ごちそうさまでした。

お腹も満たされ、体も程よく休めました。


そして外に出ると、なんと雨がやんでる。
鷲羽岳が全開で見え始めてるじゃないですか。

これは良い兆候。

不思議な事に、気分が上がると力も戻ってくるような気がします。
荷物をまとめて三俣峠へ登り返し始めると・・・


めっちゃ晴れてきた。
これを目の前にして、三俣蓮華岳に登らない理由は無いです。
時間にも余裕がありますし、せっかくだから回って帰ろう。


双六方面のカールも綺麗に見えて来ましたね。
売り切れた登る足も、少し帰って来たみたいです。
気分は上場♪


9:45三俣峠。
ここから巻道を帰る気満々だったのに、もう足が勝手に三俣蓮華へ。


9:56 三俣蓮華岳、頂きました!


三種の三角点も久しぶり!


振り返ると、鷲羽岳から水晶岳までの稜線。
いやー、綺麗だな~。水晶岳も晴れて来たな。
まぁタイミングですよね、こういうのは。
水晶の大分上に大きな笠雲があるの、分かりますか?
あれ、薬師岳で出来た傘があそこまで流されてきてるんです。


遠く、赤牛岳とその向こうに立山に劔。


薬師岳と北薬師岳。


富山湾まで見えますね。


反対側は大天井岳。



自分で言うのもなんですが、見えている稜線は殆ど歩いている。凄いな。。。息子、よく歩いた。

これだけ晴れてくると、きっと双六岳の山頂も素敵でしょうね。
せっかく稜線に上がった事ですし、このまま双六岳も回っていきましょう。

一旦下り、また登り返すと丸山です。


丸山からみる黒部五郎岳。
見事なカールですね、綺麗だ~。


振り返ると、鷲羽から水晶、赤牛へと続く稜線。
もう最高♪

ウキウキで双六岳へ足を進めました。



が、しかし…


中道分岐…
またガスが…


これはもう山頂の景色もダメかな?
素直に中道を帰ろうか…

いや、急にガスるという事は、急に晴れるかもしれない。

ほんの少しの希望を胸に、双六岳へ登り返す事にしました。


10:41 うっ…
双六岳山頂、頂きました。
涙が止まりません。

ガスガスですやん…


ホントは、ココにバーンと槍が・・・

まぁ、また来るさ。

しかし、もう足の裏が限界かも。
靴下を脱いで見てみると、なんとも可哀そうな事になってます。
小指の先と足の裏、すまん。
私のわがままに付き合ってくれてありがとう。

ファーストエイドのキットを出して、絆創膏とテーピングで少しでも衝撃を和らげるように処置しました。
これが少し効いたのか、この後痛みは大分薄れました。

さて帰りますか。


それでも、双六のこの稜線は好きですね。
この優しい感じがとてもいい雰囲気です。
この道、すきだなぁ~。


11:07
巻道分岐に帰ってきました。
朝ココを通ってから7時間近くが経った訳ですね。
でも、時間に余裕もあるので良い感じです。
ここまで来れれば、どうあがいても明るいうちに新穂高に着きます。

私のモットーは、「暗いうちに出発しても下山は明るいうち」です。
暗いうちに出発して何かあっても、すぐに明るくなるのでなんとかなります。助けも来てくれます。
でも、だんだん暗くなってから何かあると、次に明るくなるまでの時間が長いのと、そこまで誰にも助けに来てもらえません。
致命的です。
だから山は、早出早着なんですよね。
日が沈んでまで動き続けるリスクは避けたい訳です。

11:15
さて、双六小屋に戻ると…


あら?
小屋閉まってる?

恐る恐る入り口から入ってみると、普通に受付にお姉さんが居ました。
「あー、台風が来てるんで、全部外張りしてるんです。」

なるほど、そうか!
そして気付きます、水晶小屋もそうだったのでしょうね。

ここでコーラチャージ。
甘い炭酸飲料が体に染みわたります。
んまい。

少し休憩もして、11:30に小屋を出発しました。


双六のテン場。
明日台風が来るのに、テントが2張り。
午前中までは持つような予報でしたが…
猛者ですな。


水晶岳、鷲羽岳、双六小屋、ありがとうございました、また来ますね。

あとは修行の道。
双六小屋の時点でこの日の歩行距離は30㎞
累積標高差もかなりのものです。
もう太ももはパンパン。足の裏も処置したとはいいえ、下りになるとなかなかの衝撃を受けます。


12:10
弓折乗越
この辺りで再びガスが切れ始めました。
また晴れそうですね、今日は目まぐるしく天気が変わります。


それでも槍はまだ雲の中ですが、鏡平まで降りれば見れるかな?


12:30
鏡平山荘まで降りてきました。
この時点で日も差し始め、足の負担も大きかったので少し休憩をとることにしました。


名物かき氷を頂きます。
美味し~♪
疲れた体に糖分が浸透して行くのがよくわかります。
今体はスポンジ状態。吸収率が高いです。
もう一杯行きたかったけど、止めておきましょう。


そして荷物をまとめて出発しようとしたのですが、鏡池でまたストップ。
槍が出そう。少し待ってみる事にしました。

結局槍は出てこなかったのですが、待ちながらここで休憩していた御夫婦としばらく歓談しました。
とても優しそうな旦那様に、奥様。話をしていてとても気持ちの良いお二人でした。
夫婦で山をのんびり歩くっての、良いですね。素敵な御夫婦でした。
またどこかの山でお会いできればと思います。

さて、ガンガン降りましょう。


熊のおどり場。
ココを通るときは必ず熊踊りをしなければなりません。
誰も居ないのを良い事に今日も激しく踊るのですが、勿論一人です。
撮ってくれる人も居ないので、お見せできないのが残念です。


13:19シシウドヶ原
いやー、まだあそこまで降りるんだ、厳しいな~。


13:41
ガシガシ歩いて秩父沢出合まで降りてきました。
やっぱり少し水量がありますね。
そして水が綺麗♪


飛び込みたくなる衝動に駆られますが、我慢します。
気持ち良いだろうな~…


そして、ここで最後に槍の穂先が雲の中から一瞬見えました。
良かった、最後に現れた。
やっぱり、槍の存在感は圧倒的ですね、カッコいい。


14:08
ようやく小池新道の入り口です。
登山道は終了、後は8㎞ほどの林道歩きです。

足が・・・

もう…



14:18
重い足を強引に回して、わさび平の小屋に辿り着きました。
暗い時には気付きませんでした、小屋が新しくなってる。。。
あれ?去年もそうだったのかな?


そしてコレ。
もう止まりませんでした。
きゅうり、トマト、塩、三種の神器が揃ってます。もう手にしない訳が無い。
美味しかった。。。


さて、後は林道を行きます。
緩い下りが続くので、もう重力に体重を預けます。
体が勝手に前に進むので、それに逆らわないようにすると惰性で走る訳です。
ヘタに抑えると、逆に足がつらい。。。


15:08
そしてゲートを越えた後、この橋を渡るときのこの景色。
これを見ると帰ってきた感が半端無いですね。
長かった~。
新穂高の登山者センターに下山届を出して、後は車に戻ります。


最後は安定のひがくの湯。
もう説明は要りませんね!

なんとか、これでこの三ヶ月の締めをするには最高の登山が出来ました。
これでまた明日から、適当に頑張れる。
頑張れると言うか、自信がつきました。

歩行距離46㎞ 累積標高差±3460m
15時間20分
よく歩きました。明日の自分、自信持っていいぞ!

いつも一緒にいる息子が居ない一人での山でしたが、たまには良いですね。
自分と向き合う時間が長く、色々考えたり無心になれる時間が多いです。
息子も忙しくなってきているようですし、今後はソロが増えるかな…?

さぁ、次はいよいよ、百高山の締めですね。

今月の後半の連休、南アルプスへ行きますか!




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