5月の末ですが、登山靴を買いに穂高まで行って来ました。
今まで履いていた登山靴は、13年も前に高山の
KONGさんで買ったシリオの靴でした。
丁寧に見立てて頂き、じっくり選んで頂いて買った靴がこれでした。
とても足になじみ、長時間履いていても全く疲れることなく、足が痛くなることも無いとても良い靴です。
それまで靴にこだわりの持ってなかった私は、後にとある事に気づきます。
「こんなに足にフィットする靴はそうは無い」
と言う事です。
ランニング用の靴を買ったり、普段履く靴を買っても、どこか足が痛かったり、疲れてしまったりと、何かしら不具合があるのです。
今まで気にもしなかった違和感を、この靴を履いてから感じるようになりました。
このシリオの靴はとてもお気に入りで、色々な山を歩きました。
ゴアテックスの靴でしたので、バイクツーリングのブーツとしても使い、北海道ツーリングではそのまま利尻山を登ったり、武佐岳を登ったりと凄く気に入った靴なのでしたが・・・
ココ最近の息子との登山で過酷に使いすぎたのか、いや、経年劣化ではあるのですが、ソールがはがれ始めたりしてきたのです。
なんとか自分で修理して修理して使っていたのですが、やはり2泊を越える縦走中にソールが剥がれたら致命的になります。
実際に南アルプスの縦走時は4泊5日の3日目で剥がれてしまいましたが、それを予期して接着剤を持っていっていたので事無きを得ました。
なんとか使っている状況では、登山中に気が気では無くなってしまうので、やはりここは靴を買い換える事にしました。
しかし、幅の広い私の足に合う靴は中々無いだろうと思っていたので、靴はこだわりのある人に見立てて頂くのが一番良いだろうと思い、前々から気になっていました、「
バックカントリー穂高」さんにお世話になる事しました。
靴のフィッティングは完全予約制で、かなり長時間をかけて靴を見立てて頂けます。
実は3月末に一度お店に伺っていたのですが、その時私の幅広の足に合う靴が無く、どうしても少しの間履くと足に痺れが出てきてしまっていたのです。
しかし、店長の太田さん曰く
「5月半ば頃に幅の広いモデルが輸入されますので、もう一度来て頂けませんか?」
との事で、入荷されるのを待っていました。
この空間はお店の中でも通常のお客さんは入れないスペースになっているようです。
登山教室の受講生の方、靴のフィッティング、ザックのフィッティング等、予約した人対象の空間のようです。
真ん中の長イスに座り、足のサイズを測ると棚から何足かの靴を店長が持ってきます。
しっかりとした履き方をした後に具合が良さそうだと、その靴を履いたまま店内を10分ほどウロウロします。
履いた瞬間の感覚だけでは無く、暫く足を通した状態で足の痛いところが無いかどうかを確認しているようです。
10分後、靴を脱ぐと少々足の左右がスッとする感じがありました。
正直に店長に訴えると、また違う靴を持ってきて頂き、足を通したら再び10分ほどウロウロ。
これを繰り返すので、靴のフィッテイングだけでかなりの時間がかかります。
棚にはギッシリとLOWAの靴が並んでいます。
最終的に、靴の純正ソールの形状で足の左右が痛くなる事が判明し、別のソールを入れてみたところ・・・
すっかり解決しました。
ぴとっと足に吸い付く感じ、この感じです。
後は、ゴアテックスのモデルにするかカーフモデルにするかを迷ったのですが、やはり日本の気候にはゴアテックスと言う事で、そちらを選びました。
LOWA TIBET GTX WXL
この靴が、また相棒として山を歩く事になります。
さて、購入する靴も決まったのですが、本題はココからです。
革製の登山靴は使用にあたって手入れをしなければならないので、「お手入れセット」も同時購入です。
セットを購入した人は、そのまま「お手入れ講習」を受けることが出来ます。
もちろん、長く大事に使いたいので受講します。
ヌバックレザーは手入れをする事により、防水性、耐久性が飛躍的に向上するとのことで、牛革に関する事を店長に丁寧に説明されながら講習を受けます。
店長自らの指導の下、しっかりとWAXをかけて行きます。
このように、1回目の手入れをする前とした後の違い。
もはや別の靴のようです。
片方の靴を店長が磨き上げながら、もう片方の靴を見よう見真似で指導を受けながら磨き上げて行きました。
なんとか磨きも終わり、こんな感じです。
棚に並んでいるのが新品の靴ですが、私が持っている靴が1度目の手入れが終わった状態です。
さて、お店での指導はココまでになります。
後はコレを2~3日乾燥させて、2度目の手入れ。さらに2~3日経ってから、3度目で仕上げの手入れをします。
約1週間かけてWAXを3回塗りする事により、ヌバックレザーが持つ革の能力を最大限引き出す作業を行います。
さて、3日後・・・
ざっと2回目の手入れが終わったのですが、なかなか店長が磨き上げるように綺麗には行きませんね。
ピカピカ感が足りないような気がします。
ついでに、冬用のスカルパも手入れの道具を購入したので、そちらもWAX加工します。
今までホームセンターで売ってるような市販のWAXしか使ってなかったのですが、今回しっかりしたものを塗りこんだので、質感が変わってきました。
スウェード革なので見た目が変わらないのがあれですが・・・
触った感触はかなり変わりました。
写真には手入れの道具も全て載せてみました。
こんなに色々使うようです。
さて、さらに3日後・・・
3回目の仕上げが終わりました。
WAXコーティングとしてはココまでになります。
うーん、やはり店長がされているほど艶が出てきません。。。
ただ、全体的には綺麗に仕上がっています。
そこで、さらに3日ほど乾燥させてからセットに入っている布で磨いてみる事にしました。
すると・・・
こんな感じで光沢が出てきました。
良い感じですね。
最後に靴紐を通しておしまいです。
さて、これでまた山を歩けますね!
とりあえずは近場の裏山を歩いて慣らさないといけないですね。
しかし、こちらの靴を購入するにあたり、フィッティングからお手入れ講習まで含めて3時間。
たった一足の靴を3時間かけて売る店長の姿には感銘を受けました。
しかも一度お店に伺った時に、とりあえず履けそうな靴を売るような事も無く、合いそうな靴が入荷するまで待って欲しいと言われた事。
私はその時に「この方から靴を買いたい」とはっきり思いました。
とても良い買い物が出来たと思っています。
また10年以上付き合える靴になりますように!